2019/03/09

How to tell the beauty


鏡よ鏡よ鏡さん

世界で一番美しい人は誰? 少女は尋ねました

鏡は答えました

世界で一番美しい人 それは貴女です


鏡よ鏡よ鏡さん

世界で一番美しい人は誰? 少女は尋ねました

鏡は答えました
世界で一番美しい人 それは紛れもなく貴女です


しかしある晩、少女は何を思ったのか

いつもと同じことを尋ねた後、
鏡を粉々に砕いてしまったのです


何故なら少女には、

鏡にうつる自分の顔が見えませんでした
少女は、目の見えない女の子だったのです…



私には見たいものがあるの

皆が春よ春よと騒ぎ立てる、その春の色を
狂い咲き、風に舞う、その花びらの色を

そして、あの人に似ているという自分の顔が見たい





鏡は粉々になってしまった体から、

囁くような声で答えました

あなたが見たい春の色は、
あなたの唇の色と同じ色です

あなたが見たい花の色は、
あなたの指の先と同じ色です


あなたの顔は、
鏡の持ち主だった、あの人と同じ顔です




粉々になって少女の足下に落ちてしまった鏡は、

窓の外から差し込む月の光りを反射し
キラキラと輝いて、少女の顔を照らしておりました







少女は、そっと、呟きました

あぁ…なんて眩しいのだろう。


                                                            「鏡よ、鏡 作:ゆや」